アメリカ人の“ヒロシマ”

今日のクローズアップ現代

僕が小学生の頃、「はだしのゲン」「ガラスのウサギ」といった作品に大変な衝撃を受けた。

今、小学生に、戦争や原爆の認識が薄れ始めているという。

番組の中では、主に広島の若い小学校の先生の取り組みが取り上げられていたが、また、アメリカの人々の「ヒロシマ」に対する意識を扱った取材が興味深かった。

世論調査では6割以上の人が、原爆投下を肯定しているそうだ。

その中で、アメリカの高校の授業で、生徒同士が原爆投下について、その是非を討論する場面があった。

「戦争を終わらせるためとはいえ、当時の日本の戦力に対して原爆を使用するのは行き過ぎだったのではないか?」

「原爆投下のおかげで、早く戦争を終えられたわ。」

「しかし、そのために多くの人が犠牲になったじゃないか。」

「たったの20万人よ。」

かわいい女子高生の言葉に、背筋が凍った。

実際授業に使われる教科書の内容は、番組内では少ししか触れられていなかったが、ほんの僅かな情報だけらしい。犠牲者の数は、日本側の発表より大幅に少なく、日本で原爆資料館で観ることのできるような悲惨な写真は、皆無だそうだ。

その高校生たちに、日本の教科書の写真を見せると、一様に言葉を失っていた。

韓国では、日本の教科書の内容が重要な社会問題として取り上げられるが、日本でアメリカの教科書の内容が議論されることはほとんどない。

少し前のニュースで、強制連行された韓国の方が被爆し、日本政府に賠償を要求している裁判を耳にしたが、どうしても何か腑に落ちないのは僕だけだろうか。

太平洋戦争の是非、とは別次元の問題として、原爆投下の是非が議論されてもいい時期に来ているのではないか。

番組を見ながら、そう強く感じた。

「アメリカ人の“ヒロシマ”」への9件のフィードバック

  1. しかしその原爆投下により戦争が終結したと
    考える日本人もいる。
    リメンバーパールハーバー。
    私もしょうがなかったと考える一人です。

  2. >心さん
    初めまして。
    先日、TBSでも特集番組をしていましたが、ご覧になられたでしょうか。
    物事を考える場合、確かにある一面のみだけでは判断出来ません。僕も、できるだけ一時的な感情のみで物事を判断したくないな、と常々考えています。
    さて、原爆投下ですが、原爆投下が終戦に不可欠だったとは、やはり思えません。先述の特集番組の中では、当時の再現ドラマもありましたが、それが客観的に真実に近いものならば、そのように誰でも感じるはずです。
    また、パールーハーバーを肯定してる訳でもありません。被爆された方々は、原爆の犠牲者であると同時に、真珠湾攻撃の犠牲者とも言えるのではないでしょうか。
    実は、僕が当時のアメリカの為政者だったとしたら、同じような判断をしたかもしれない、とも思いました。国益を優先する、という当たり前の思考からは当然と言えるかもしれませんね。
    しかし、だから原爆が正当化されるとしたら、それはやはり、人類は未来を放棄していると思わざるを得ません。人、いや全ての存在に対する思いやりこそ、決して捨ててはならない“心”ではないでしょうか。
    http://www.tbs.co.jp/sengo60sp/

  3. TBありがとうございました。
    始めまして、りおと申します。
    いろいろ拝見させて頂いてココにCommentさせて頂きます。私も原爆は過ちと考えます。
    人間はいずれ死にます。確かに長い歴史の中のホンの一握りの数の人の命です。
    それでも人間の死があのような無残なものであっていいはずが無いのです。
    かけがえの無い人たちの心が抹消され
    人の体を残さず消えてしまっていいはずがない。アメリカの授業での会話は悲しむべき事です。私も子供がいます。戦争について
    どう教えていいのかわからないのが正直なところです。教えるという事は刷り込みになります。本来こんな事は教えられなくても心がわからなくてはならない問題だと私は考えてしまうのです。政治的な背景、国家間の歴史・・・そのような事を教えれば教えるほど、子供たちは頭で考えて戦争を語るようになるのではないかと思うのですがいかがでしょうか?
    ささやかな‘思いやり’大事な事ですよね。
    長々と失礼しました。自分のブログにつまらない事を書き連ねているので少々気恥ずかしい感じがします。<m(__)m>

  4. >りおさん
    初めまして。コメントありがとうございます。
    「教える」という事は、特に子どもに対して、本当に難しいと思います。学校の先生の責任を思うと、僕には出来ないなー、と思ってしまいます。
    頭で考えること、心で感じること、どちらも大事だと思います。
    何が本当の「優しさ」なのか。いつも考えています。なかなかできない、わかんないですけどね~(^^ゞ

  5. 原爆投下は仕方なかったと考える生徒、学生、国民にどのように真実を伝えていくのか、難しい問題です。微力ながら議論をしていきたいと思います。

  6. 原爆ドームの近くに超高層マンション建設を仕方ないと考える人が多いのも心配です。時代が変わったでは済まされない大きな問題と考えています。また、原爆ドームが危険なので解体しなければと考える人がいるのも困り者です。

  7. >戦争遺構研究会さん
    初めまして。
    戦争のこと、もっと僕らは真剣に考えなくてはいけませんよね。
    でも、人間とは愚かな存在です。本当に、救いがないのでしょうか?
    僕はあきらめたくない。

  8. 戦争に行かれた人が原爆で戦争が終わったと思われている人がいるのに驚きました。
    戦争だから仕方がないと考える人に対してどのように説明すればよいのでしょうか。根気よく話していきたいと思います。毎月第二土曜日AM10時から、堺市立東文化会館で、記録映像、映画などを見ながら歴史の学習をしています。興味のある人はご自由に参加ください。

  9. tkさん有難うございます。人間は救いがないのではとも考えることもあります。それでは、負けになるので、ささやかに、平和について発信し続けています。それが使命だと考えています。平和ボケしている社会に本当の平和の大切さを考えてほしいと、生意気なことを考えながら、歴史の学習会を毎月続けています。それぞれが、できることを通じて活動したいものです。今後ともよろしくお願いします。

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