今日の1枚#14「Harmony of the Spheres/Neil Ardley」

このアルバムも初めて聴いたのは20年前。冬の瀬戸内海の風景がなぜかマッチして、愛聴していた。

Neil Ardleyはキーボーディストと執筆家としてのキャリアを持つ。どうやら法学と化学の学位も持っている?らしい。へぇー
実はこの人の経歴はあんまり知らない。何枚かアルバムを出しているらしいが、これしか知らない。当時のMarquee誌のレビューを見たんだっけな?

音はというと、本業がkeyの割に結構スカスカな感じです。ベースの方が引っ張ってたりして。
当時はまだまだポリフォニックシンセサイザーの能力が低く、Arpを使ってたらしいけど、線が細いし、音数も決して多くはない。

しかし、真に良い音楽とはそんなことは関係ない、と思わせてくれる名盤。

「Upstarts All」から始まる旅は、その先のわくわくを十分に予感させてくれる。
ジャズロックのカテゴリーに分類されることが多いけど、Weather ReportやMahavishnu Orchestraとはずいぶん毛肌が違う。Soft Machineともまた違う。
あの頃のブリティッシュ・プログレッシヴ・ロックの亜流と言われる、いわゆるカンタベリーロックの香りがたっぷりつまっている。

そしてラスト「Towards Tranquility」。
もう、この曲を聴くためだけに、このアルバムを推薦します。
もちろん、この曲はアルバム全体を聴いた上で最後に聴くべく作曲され、配置された曲。
硬質なベースがリズムを刻み、女性スキャットが虚空を舞う。
シンセサイザーはシーケンシャルなフレーズ、トランペットとボーカルがユニゾンでメロディを奏でる。
いかなる時でも、期待に違わず聞き手を異次元に誘ってくれる。

僕にとっては、宮崎のムシムシした真夏の夜でも、冬の瀬戸内海、あるいはスコットランドの枯れた台地、フィヨルドの白夜に一気に連れて行ってくれる、そんなアルバム。

ちなみにNeil Ardleyは2004 年 2 月逝去。

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