先日、現在宮崎県立美術館で開催されているベオグラード国立美術館所蔵フランス近代絵画展に行ってきました。
さすがに素晴らしいコレクションぞろいで、見応えのあるものでした。
今回の個人的なお目当ては、ギュスターブ・モローとオディロン・ルドン。
特にルドンの作品が何点か展示されていたのはうれしかったです。
ゴーギャンこれまでに単発で2,3の作品は見たことがあったのですが、正直なところ、さほど記憶に残っていませんでした。
しかし、今回イギリスの農民を描いた小品と、南国の女性の裸婦像を同時に鑑賞し、そのフォークロアな視点と、力強くも優しいタッチと色彩にハッとさせられました。
フォーヴィズムでは、ルオーを始めアンドレ・ドラン、モーリス・ド・ヴラマンクなどが展示されていました。
特に、ドランの「静物画」は、古典的な題材を、斬新な技法で描かれており、新鮮な印象を持ちました。
印象派にしろフォーヴィズムにしろ、僕には日本の水墨画に共通するものを感じます。どちらも対象を抽象化し、ラインや色を簡略に描きつつ、それを見る側に想像させるような工夫がなされています。僕は水墨画の中でも特に長谷川等伯「松林図屏風」や宮本武蔵の絵が好きなのですが、それらはとりわけ余分なものを削ぎ落としつつ、見る側に感動を与えるものです。
西洋画の場合、もちろん色はありますが、筆のタッチなどに同じような意図を感じるのは僕だけでしょうか。
先般記事を書いたアルベール・マルケと同様、ルオー、マティスもモローの門下生です。モローの画風はフォーヴィズムと遠いように一見感じられますが、このことは決して偶然ではないでしょう。
モローは神話を題材にした幻想的な作風で有名ですが、それらが彼自身の人生観に根ざした意図で描かれていたのは明らかです。彼の世界観や価値観に影響を受けたであろう弟子たちが、新しい潮流を作り出したことは、興味深いことです。
ゴーギャンとフォーヴィズム。改めてじっくりと観てみたいと思いました。