哀愁のヨーロッパ

評価:
Pat Metheny & Anna Maria Jopek
Nonesuch
¥ 1,047
(2008-10-07)
コメント:ポーランドの歌姫とパット・メセニー奇跡の邂逅。パット本人が参加。

先日、親戚の法事で高千穂に久しぶりに出掛けて来た。

冬の高千穂は、南国宮崎に似合わず山肌に雪を見る。

R218を延岡より五ヶ瀬川沿いを、九州山地の懐を目指して車を走らせる。
北方より、山手に道は進み、日之影に入る頃には深い谷の上部を走るようになる。

その辺りから、ちらほら、雪も見え始めた。

往路はまだ雪は降っていなかったものの、高千穂に入った途端、谷向こうの山の影になった数件ほどの集落の上に、一日溶けずに残っている雪を見た。

この風景を見ると、まだ訪れたことのないヨーロッパを思い浮かべてしまう。
北イタリアからスイスに入る辺りの峠越え、あるいはピレネー山脈辺りか。

Animage
Dan Barta-Illustratosphere

折しも、カーステレオからはこのアルバムが流れていた。

チェコを代表するシンガーの2008年発表の3rd。
スティングを髣髴とさせる声質。
しかし、実力は引けを取らない。
このアルバムからはバンド名義となった、バックミュージシャンとの相性も抜群に良い。
ジャズを基本としながらも、ロック、ファンク、民族音楽を巧みに取り入れた楽曲は、真のプログレと言えよう。

特に、「Naokoland」「 GEIST ARBEITET」は独特のメロディセンスが爆発した佳曲。

Dan Barta & Illustratosphere-Diven�

この曲は2ndのものだけど、スタジオ盤とはまったく違うアレンジで聴かせてくれる。
素晴らしいパフォーマンスは往年のP.F.M.を髣髴させる。

特筆すべきはパッケージ。

LP時代のミュージシャンが、ジャケットを含めたトータルアートとしてこだわった姿勢を受け継ぎ、1stアルバムからライブ盤を含め4枚のアルバムデザイン全てが素晴らしい。

特にこの3rdではケースまで特殊な形で、昔で言えば変形ジャケットというところか。

ぜひ一度手に取ってみて欲しい。

Upojenie

Pat Metheny & Anna Maria Jopek

続いて流れて来たのは、ポーランドの歌姫。

2002年に発表され、発売後僅か1ヶ月で8万枚を売り上げ、ポーランドのアルバム・チャートで7週間連続1位を獲得という快挙を成し遂げた名盤。

パットのカバーを中心にし本人もギターで参加しているが、紛れもないアンナのアルバム。

彼が肩入れするのも、よく解る。

名曲「Are you going with me?」が、あのカラーを損ねることなく、ミズーリの大地から一気に東欧の冷たい空気の透き通った空の下へ運んでくれる。

近しい人を亡くした哀しみが、静かに僕の中に広がっていった。

小さい頃、よく祖母に連れられ遊びに行った家に着く。
この辺りでは、今でも自宅喪が普通だ。
お通夜のあと、本葬の時にはついに吹雪いて来た。

町外れの火葬場でお骨を拾った後、小雪の舞う国道で帰路についた。

「哀愁のヨーロッパ」への2件のフィードバック

  1. Divení~…凄く楽しいリズム構築ですねっ。
    こーいうの大好きです♪
    …にしてもパットメセニーは、いつ見ても頭がデカいなぁ(笑)

  2. >盆造(´ー`)y━・~~~ さん
    メセニーの頭・・・
    あの髪の分を除けたとしても、でかいっすね(笑)(^_-)

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