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吉良知彦よ 永遠に

今朝、にわかに信じがたい訃報に触れた。
ZABADAKの吉良知彦氏が亡くなられた。享年56歳。

ZABADAKを知ってから、もう30年近くになろうか。初めて故郷を出て、岡山で学生時代を過ごしたあの頃。
「遠い音楽」「桜」「私は羊」何度聞き返したことだろう。
あまりにもカタログが多すぎて、全てを追いきれないのだが、それでも10数枚のアルバムが手元にある。

初めて聞いた「遠い音楽」は、そのアイリッシュな香りが当時よく聴いていたトラッド系のプログレとまったく違和感なく、すぐにはまってしまった。
というより、日本にこんな音楽を作る人たちがいるなんて!と驚いた。
なかでもラスト「harvest rain(豊穣の雨)」は、ナウシカ的世界を彷彿させる名曲。

続く「桜」には、宮崎の民謡「椎葉の春節」を収録。浅からぬ縁を勝手に感じてしまった。
オープニングの「五つの橋」の異国情緒、「百年の満月」の切なさ。青春の一コマ一コマが、リンクしている。

「私は羊」では、なんといっても「小さい宇宙」。

その後、しばらくZABADAKから離れていた時期があったのだが(嫌いなったわけではなかった)、宮崎へ帰って陶芸を志そうとしていた時にブックオフで「Decade」を発見。

それから時々アルバムを買い足すようになる。
「Life」はファンの中ではあんまり評価されていないようだけど、修業時代によく聴いた一枚。大好き。
「永遠のレモン」「僕の贈り物」「この空で会えるよう」「Life」などZABADAK流プログレ節満載のいいアルバムだ。

「永遠のレモン」
僕はレモンの中に 青空を閉じ込めて
高く投げる 夏の窓ガラスを割る

きっと 君はまわる 虹の瞳を
鏡のように 輝かせて 遊び続ける
カケラになって 音をたてる 蒼いガラスを
踏まないように 出ておいで

“のれん分け”後の、上野洋子なきZABADAKの不安を払拭させてくれた。吉良さんのボーカルも、いい。
それにしても本当にこの人、ギターが上手い。

それを再認識させられた「Trio」。
上野洋子時代の曲をアコースティックトリオでセルフカバー。これまたよろしい。

吉良知彦名義の「賢治の幻燈」は、宮沢賢治へのオマージュにあふれた傑作。
この人のギターは、音色、ヴォイシングにブライアン・メイからの影響が大きい。

「Something in the air」
このアルバムは宮崎で独立して間も無くの頃、よく聴いた。
新しい道へ一歩踏み出した高揚感と、心の底に隠しきれない将来の不安。
そんな心境にこの歌がはまった。

「鍵穴と迷路」
朝へ続かない夜
ほどけないままの夢
一人きりの影
迷い込む迷路の中で

信じたものさえわからない
何にも見えない
泣いてることさえ気付かないなんて
どこか違う みんな知っているさ
迷うため生きてる

「Ikon」は鈴木光司「楽園」を元にしたコンセプト・アルバム。

ひと組の男女が、長い生々流転を経て結ばれるというファンタジー。
個人的には、かつて付き合っていた女性からもらった、一冊。甘酸っぱい、というよりほろ苦い、思い出。
(小説のコンセプト自体は面白いとは思うけど、氏のデビュー作?らしく詰めの甘さなんかもあったり)
そんな小説をZABADAKが取り上げるなんて。

「Signal」はZABADAKがハードロックに!というと大げさだけど、「Play your days」「Tin town」ではギターが唸っている。
「にじ・そら・ほし・せかい」はNHK「おかあさんといっしょ」で使われた曲のセルフカバー。
(NHKといえば、アニメ十二国記のエンディング有坂美香月迷風影」も吉良らしい佳曲)

ZABADAK本体だけでなく、上野洋子さん関連作も何枚かもっているが、結局、吉良知彦ファンなんだなあ。
キャメルではピーター・バーデンスではなくアンディ・ラティマー、みたいな。(分かる人には分かる)

あー、書いたら、ちょっと落ち着いた。
でも、やっぱり泣けてくる・・・・

吉良さん、ありがとう。
ゆっくりお休みください。

Yahoo!ニュースにも

ビルブラ、好きですねん

Bill Bruford
wikiはこちら

彼のドラムをはじめて聞いたのは、確か「Close To The Edge/YES」。なんじゃこりゃ〜!という世界。
名盤の名に恥じぬ、バンドの世界観、演奏、メロディどれも子供の狭い世界観を見事に破壊してくれた。

とりわけそのリズム。

YESは今でもフェバリットなバンドの一つだが、そのメンバーの中で唯一、いちミュージシャンとして追っかけているのがBillである。
彼はロックバンドでの活躍も多いが、本人曰く「ジャズが好き」。
その彼が80年代末から結成していたのがEarthworks。
これまたヘンテコなメロディとリズムが「なぜか心地よい」。

メンバーであった当時“新人”ジャンゴ・ベイツイアン・バラミーは今や押しも押されぬ一流ミュージシャン。
同時期、渡辺香津美のスパイス・オブ・ライフにジェフ・バーリンと共に参加。

そのジェフ・バーリンに加え、デイブ・スチュワートアラン・ホールズワースと組んでいたのがBruford。
かっちょええっす。