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扉をたたく人


 

久しぶりに、映画館でエンドロールまで余韻に浸ってみたいと思える映画に出会えた。

原題は「The Visitor」。
「扉を叩いて訪問する場面」が印象的に繰り返され、お世辞にも人付き合いがいいとは言えない主人公の存在において、邦題は秀悦である。

映画の冒頭、単なるくたびれた田舎オヤジの話か、思いきや、そのオヤジが未知の音楽と出会うことで青春を取り戻す話なの?と思いきや、ひょんなことから友情を交わすようになるシリア人とセネガル人のカップルを巻き込んだ現代アメリカが抱える移民問題がテーマなのか?、と思いきや、妻を亡くし仕事もその世間の評価とは裏腹に単調なシークエンスを繰り返すだけの孤独な老年を迎えたオヤジの新たな恋バナ?なの?

と書くと脈絡がないように感じるかもしれないが、それらの要素が見事に絡み合って物語を紡ぎだしていく様子はお見事。
全体のトーンも抑え気味であり、それがリアリティをうまく醸し出しており、好感を持てる。

絶対に映画館で見ることをお勧めする。


ノーバディズ・フール


いやあ、いい映画だ。

物語は、アメリカのとある田舎町。
町が小さ過ぎて、顔見知りばかり。悪い噂も、いい噂もすぐに広まってしまう。
夜になると、酒場にたむろしポーカーにいそしむ“バカな”大人たち。

この映画には、取り立てて事件があるわけでもなく、セックスがあるわけでもなく、流血事件(あ、警官が鼻血出すなそういえば)があるわけでもない。
ただの田舎町の日常を描いた作品。

それだけに、サリー(ポール・ニューマン)の、酸いも甘いも知りつくした大人の渋さがかっこいい。
それを取り巻くどうしようもない大人たちもまた、魅力的だ。

例えば、雪かき機の一件は、サリーが雇い主である建設会社の社長(互いに裁判係争中)に借りようとするが、断られる。
社長(ブルース・ウィルス)も売り言葉に買い言葉、つい意地を張ってしまうのだが、サリーはなんと、社長の奥さん(後にサリーと駆け落ちを計る)に「貰っていくよ」と一声で持って帰ってしまう。
それから、マジの泥棒ごっこが始まるのだが(笑)、大人げないように見えて実はそうではない。
毎日、狭い町のどこかで顔を合わすのだ。本気で怒っていれば、怒鳴りあいの喧嘩になるだろう。
しかし、互いに顔を合わせている時には素知らぬ振りをし、夜中に盗みだす。
喧嘩になれば、町でお互い暮らせなくなることは百も承知なのだ。
つまり、互いが大人じゃなければ、この“泥棒ごっこ”は成り立たないのだ。

Nobody's Fool [抜け目のない、賢い]

クリント・イーストウッドの「グラン・トリノ」と同系統の作品だが、時代がちょっとノスタルジックなのと、「グラン・トリノ」は基本的にイーストウッドの独り舞台だけど、こちらは脇役(ジェシカ・タンディ、ブルース・ウィルス、メラニー・グリフィス等々)が素晴らしい。

何年か経ったら、また見たくなるに違いない1本。


追悼 原田芳雄


大鹿村騒動記」を観て来た。原田芳雄の遺作となった作品。

長野の山奥の村で起こる、とある“事件”。
笑いあり、泣きもあり、いい映画でした。実在する大鹿村の秋の美しい映像もあり。
お薦めです(^_-)

原田さんと言えば、いろんな作品に出演され、ニヒルでクールな役どころが印象的。
宮崎にも縁が深い黒木和雄監督作品にも多く、出演。

印象に残っているのは「美しい夏キリシマ」「オリヲン座からの招待状」かな。

昭和の偉大なヒーローがまた旅立たれた。

合掌。


ガタカ GATTACA


評価:

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
コメント:隠れた名作。SFという形態を取りながら、命の尊厳に深く切り込んだ作品。

ヤバイ。全くのノーマーク。

SF映画の傑作。監督・脚本は「トゥルーマン・ショー」のアンドリュー・ニコル。
まずは脚本が素晴らしい。原作がレイ・ブラッドベリと言われても分かんない。
実際、トリュフォーの名作「華氏451度」を髣髴とさせる演出。

俳優陣がまた素晴らしい。
主演のイーサン・ホーク始め、ジュード・ロウ、ユマ・サーマン、ローレン・ディーンの名演。

そして、マイケル・ナイマンの音楽。美しい。哀しい。人の生き様の力強さ。
一度見たら忘れられない、ラストシーン。名作です。


イラク戦争とは何だったのか


いまだ続いている、イラクでの戦争。
アメリカのとんでもない言いがかりで始まった、というのは今となっては誰もが知るところであるが、この戦争で日本が果たした役割とは一体何だったんだろうか?

大量破壊兵器を保持しているだろうイラクに対して、テロを撲滅するためにアメリカは兵を進めた。現実には、大量破壊兵器は発見されなかった。
しかし、その真意はイラクの持つ世界最大級の油田の利権である、というのが大方の意見であろう。
そして、日本も憲法を拡大解釈して自衛隊を派遣した。
果たしてそれは平和貢献だったのだろうか?

このドキュメンタリーでは、冒頭からショッキングな映像が続く。
これが戦争というものか。
現場の生々しさが否が応にも伝わってくる。
特に犠牲になった子供達の映像は、真っ向から観ることには大きなエネルギーを必要とした。

彼らは一体何のために死んだのだろう?あるいは取り返しのつかないような怪我をしたのだろう?
誰に彼らにそんなことを科す権利があるのだろう?

このドキュメンタリーを観れば、この戦争がいかに欺瞞に満ち、身勝手なものであるか誰でも感じるであろう。
そして、その戦争に日本も加担したのだ。
アメリカが石油を奪いに行った戦争の手助けをしたのだ。
これは恥ずべきことではないのか?
それが外交というものなのか?

決してイラク戦争は終わったことではなく、他人事では済まされない。
イラク派兵も政治家が決めたこと、ではなくその政治家を選挙によって任命したのは、他でもない我々である。
全て我々が日々の生活の中で、考え行動した結果なのだ。

自分たちの生活のために他人を犠牲にする、そんな選択をしたくない。


カリオストロの城


ルパン三世 - カリオストロの城

ルパン三世 – カリオストロの城

山田康雄,モンキー・パンチ

小学校5年生くらいだったでしょうか。

子供の頃から映画が好きで、あの頃は夏休みになると友人とバスに乗って街中にあった映画館(当時は田舎の小さい町にも10件近くあった。ビデオもない頃ですから)にわくわくしながら行ったものです。

その日は、かねてからの話題作「レイズ・ザ・タイタニック」を観に行こうと、今はもう無くなってしまった映画館に渋る友人と出かけました。

小学生が町に出て行く、というのはちょっとした小旅行の様なもので、しかも映画料金を払うということはかなりの贅沢でした。

ですから僕たちはかなり意気込んで出かけた訳です。

しかし、いざ映画館に着き料金を払おうとすると、窓口のおぢさんから

「子供が観るもんじゃねえ」

みたいなことを言われて、同じ建物の中にある別の番組を勝手に押し付けられたのです。

・・・子供心に、かなり悔しかったのをよく覚えてます(笑)

で、仕方なく観たのがウルトラマンと「カリオストロの城」。

まあ、僕も悔しさからか「こんな子供が喜ぶ様なヤツなんか観れるかよ!」と思いつつ(笑)、何も観らずに帰るのも嫌だったので見たんですが。

これが。

帰るときにはすっかり「カリオストロ」漬け。

ウルトラマンは忘れましたが。

当時は「コナン」を作った人と同じなどとは知らず、オリジナルのルパンとの違いもあまり気にならず、ただただ、興奮しておりました。

いやあ、昨日テレビで10年以上ぶりに観て、童心を思い出しました(^_-)

そういえば、「レイズ・ザ・タイタニック」。

まだ観てないや。


アニメ・ゲド戦記


評価:

ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
(2007-07-04)
コメント:原作とは別物、ではあるが監督初作品としての気概は十分。今後に期待。

ゲド戦記

夕べ、レイトショーに行ってきました。

今、従姉妹の子(小学5年生、男子)がうちに遊びにきているので、ジブリが大好きという彼も一緒に連れていきました。

原作を踏まえつつ、原案に宮崎駿作「シュナの旅」とあるように、宮崎吾郎監督独自の展開となっています。

原作を知る人にとっては、多少の違和感があるかもしれませんし、アニメーションの質は、駿監督作品の緻密さとは比べようもなく、やはり監督しての経験の浅さを感じずにはいられません。

しかし、それらがこの作品の価値を低くさせるとは思えませんでした。

原作での根源的なテーマ、生と死をいかに捉えるかを、吾郎監督が明確に、分かりやすくエンターテイメントとして語りかけています。

少なくとも、エヴァンゲリオンの人をケムに巻いたような結末では決してありません。

同年代の吾郎監督が、このような力作(名作と言えないとしても)を作り上げたということは、僕も大いに刺激を受け、勇気をいただきました。

小学5年生には、少々難しかったかもしれませんが、幅広い年代で楽しめる、いい映画だと思います。


男の強さと女の優しさ(ブルースと映画の関係)


評価:
サム・シェパード
TCエンタテインメント
(2006-08-25)

先日、ヴィム・ベンダース監督最新作「Don’t come knocking」を鑑賞してきました。

あの不朽の名作、「パリ、テキサス」のサム・シェパード脚本です。

パリ、テキサス デジタルニューマスター版

パリ、テキサス デジタルニューマスター版

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